原因不明の腹痛に悩むあなたへ――過敏性腸症候群と「食事管理」体験記

はじめに:繰り返す腹痛との闘い

「また腹痛だ……」
30代後半、忙しい毎日の中で突然やってくる腹痛。仕事中も、家族と過ごしているときも、不安は常につきまといます。病院に行っても「異常なし」。けれど、腹痛はおさまらない――。
私もかつて、原因の分からない腹痛に長く悩まされていました。そして、「過敏性腸症候群(IBS)」という病名を知りました。

前回の記事では、ストレス対策について書きましたが、今回は私が本当に苦しみ抜いた「食事管理」について、体験談を交えてまとめます。
同じ悩みを持つ方の力になれば幸いです。


食事が「敵」になった日々――何を食べても腹痛

過敏性腸症候群にかかっていると確信したとき、私は「ストレスが原因なら、ストレス管理さえすれば良くなるだろう」と考えていました。でも、現実は甘くありません。

お腹に優しいと思った食事で大失敗

「消化に良さそう」と思い込んでいた、そうめん・りんご・おかゆ・うどん・プリン・茶碗蒸し……。
これらを選んでも、背中まで突き抜けるような、激しい腹痛が続きました。
動いている方がラクで、座っていられない。じっとしていても痛みが引かず、どんどん食事が怖くなっていきました。

「食べなければ痛くない」は間違いだった

食事を取ること自体が恐怖になり、1日ほとんど何も食べない日も。
「空腹」と「腹痛への不安」、二重のストレスに押しつぶされそうになりました。
そのうち体力も落ち、精神的にも追い詰められていきました。


なぜ腹痛が?原因は「FODMAP」にあった

そんなとき出会ったのが「低FODMAP食(Low FODMAP Diet)」という考え方。
私は自分で調べ、納得しながら食事を見直していきました。

FODMAPとは?

FODMAP(フォドマップ)とは、発酵性の糖質群の総称。
具体的には――

  • Fermentable(発酵性)

  • Oligosaccharides(オリゴ糖)

  • Disaccharides(二糖類)

  • Monosaccharides(単糖類)

  • And Polyols(ポリオール)

これらを多く含む食品は、腸内でガスを発生しやすく、IBSの人の腸を過剰に刺激することが分かっています。


避けるべき・摂取OKな食材リスト

「腹痛を起こす原因の食材」と「安全な食材」を知ることで、食事のストレスが大きく減りました。

避けたい食材(一部)

  • 小麦・ライ麦パン・セモリナ粉・全粒粉パン・オートミール

  • 玉ねぎ・にんにく・長ネギ・キャベツ・ブロッコリー・カリフラワー

  • アスパラガス・マッシュルーム・豆類全般

  • りんご・洋梨・スイカ・マンゴー・もも・すもも・チェリー・ぶどう・ドライフルーツ

  • 牛乳・ヨーグルト・カッテージチーズ・アイスクリーム

※お腹に良さそうなそうめん(小麦)や、りんご、ヨーグルトも実はNG。
私も「健康的」と思い込んで食べては、腹痛を繰り返していました。

安心して食べられる食材(一部)

  • 白米・そば・じゃがいも・さつまいも・米粉パン・グルテンフリーパスタ

  • にんじん・ほうれん草・なす・ズッキーニ・トマト・きゅうり・ピーマン・レタス

  • バナナ・キウイ・いちご・ブルーベリー・みかん・オレンジ・グレープフルーツ

  • くるみ・チェダーチーズ・パルメザンチーズ

  • 魚介類全般・肉類(加工肉は除く)


実際に私が食べて効果を感じたメニュー例

  • トマトベースのリゾット

  • 鶏肉のトマト煮

  • ほうれん草やズッキーニ、シーフードミックスを使ったグラタン風

味つけはシンプルにし、にんにくなど高FODMAP食材は避けました。
これだけでも十分満足感があり、徐々に「腹痛が減ってきた」ことを実感できました。


普通の食事に戻すときの注意点

1か月ほど徹底した低FODMAP食を続け、腹痛が治まってから、少しずつ普段の食事に戻しました。
正直、「ラーメン(小麦)」や「焼き肉(タレに果物・にんにく)」を我慢するのはつらかったです。
時々ハンバーガーや菓子パンが無性に食べたくなることもありました。
少しずつ量を増やしながら、「腹痛がぶり返さないか」慎重に試すことをオススメします。


体調維持のために、今も意識していること

  • たまに軽い腹痛は起きますが、ストレスや緊張がきっかけで出やすいと感じます。

  • 今も「低FODMAP食」をなるべく意識しつつ、瞑想や運動でストレスコントロールも心がけています。


最後に:自分だけで抱え込まず、必ず医療機関の受診を

過敏性腸症候群は自己判断だけで対処するのは危険です。
似た症状の重大な病気が隠れていることもあります。
「腹痛が続く」「生活に支障が出ている」ときは、必ず医師に相談してください。


まとめ

  • 過敏性腸症候群はストレス管理+食事管理が両輪

  • 低FODMAP食を知ることで食事の選択肢が広がる

  • 自分の身体に合う食材を「実験」しながら見つけていくことが大切

  • 決して一人で悩まず、医師と相談しながら改善策を探すこと


「何を食べても腹痛になる…」と悩むあなたに、少しでもヒントになれば幸いです。
私もまだ完全に克服できていませんが、一緒に無理せず前進しましょう。


※参考:日本消化器病学会「過敏性腸症候群ガイドライン2020」、Monash University “Low FODMAP Diet”

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